11月23日(土)、倉敷市民会館にて「岡山イノベーションコンテスト2019」
ファイナルステージが開催された。当日はファイナリスト15組による優れたビジネスプランが披露され、
1000人を超える会場客を魅了した。グランプリと各部門の大賞受賞者を紹介紹介します。
ダイヤ工業株式会社
小川 和徳
製造業や農業などは重量物の運搬を伴います。そこで、腰痛やけがの心配をしながら働く労働者を支援するため、軽量、柔軟、安価で服のように着られる動作支援装置アンプラグドパワードスーツ(UPS)を開発しています。
空気の出し入れで人工筋肉を伸長、収縮させることで筋肉と同じように動き作業を補助します。靴底に内蔵したポンプで駆動でき、無電源化にも成功しています。
従来のパワードスーツは、金属フレームを使いモーターでサポートしているものが多いため重くて硬質。価格も高く普及していませんでした。試作品を装着して計測実験を行った結果、約10キロ分の負担の軽減に成功。衣類部を除く重量は約1.5キロです。重量、価格、エネルギーの面で他社を圧倒する世界最軽量のパワードスーツと言えます。肉体労働の問題を改善することで生産性向上、労働安全確保につながり、生涯現役労働も目指せます。電源がない災害復旧現場での活躍も期待できます。
金光学園高等学校
渡辺 陽 / 和田 雄喜
私たちは笠岡・白石島の国指定重要無形民俗文化財「白石踊」を有名にし、後継者不足を解消するプランを提案します。
まず、踊りを3Dデータに変換。このデータを元に仮想キャラクターの「白石舞」が踊ります。3Dであればビデオ映像より手足の位置関係がはっきりするので、伝統芸能の記録保存に適していますし、それをネット配信すれば世界中のファンを獲得できる可能性があります。
「白石舞」を観光大使として利用するほか、広告出演やグッズ販売で収益を得ます。さらに白石踊を舞う「白石舞」の動きにどれだけシンクロするかのゲームも開発。人気が出れば白石踊を踊れる人が増え、後継者不足は一気に解消するはずです。将来的にはプラットフォームビジネス化し全国の無形文化財の保存に役立てるという構想です。
福山市立大学
瀬田 浩大
無人島を利用したいと思っても、現状では各島のホームページにアクセスしなければ予約できず、不便を感じることがあります。そこで私は無人島を利用したい人と、提供したい管理運営者をマッチングするポータルサイトの企画・運営サービスを提案します。
ビジネスモデルは当社サイトから予約してもらうことで、無人島利用料の約10%を手数料としていただくほか、広告収入も見込みます。サイトでは、キャンプ・グランピング、音楽フェスなど希望するメニューに適した島を紹介。無人島が抱える「漂着ごみ」の問題を解決するため、利用者がごみを回収すれば無料にする「ごみ割」も導入。まずは瀬戸内海の島から始め、全国へと展開していきたいと考えています。
該当なし
株式会社ウィズレイ
森山 圭
薬剤師の仕事の一つに、処方箋通りに調剤できているかを確認する「調剤監査」があります。これは時間がかかる作業であるとともに、薬剤師側も不安も抱えています。そういったことから、この度、この業務を支援する装置「コナミル」を開発しました。
薬剤に目に見えない特殊な光を当てて反射する光を検出すると、指紋に相当する特有の波形が得られます。これをデータベース化し、処方箋と粉薬を照合すると瞬時に「調剤監査」ができるシステムです。薬剤師の負担が軽減できることで、健康相談など「対人業務」の時間を増やせます。
岡山県は薬局1店あたりの患者数が全国平均を上回り、「コナミル」の需要は多いと考えます。地元の調剤薬局や病院薬剤部などへ販売を行いながら、調剤機器メーカーなどと連携し、全国展開を狙います。
patternstorage
今井 恵子
服製作の際の共通言語となる仕様書が作れるWEBサービスを提案します。
小ロット化するトレンドの中で仕様書や衣類サンプルの製作回数が急増し、現場は整合性の取れない情報が錯綜、混乱が生まれているという現状があります。アパレル製造業には統一された仕様書が存在しないということがこの混乱の要因です。
これを解決するために、私はパタンナー(型紙設計)15年の経験とシステムを掛け合わせ、誰でも簡単に正確な仕様書が作れるサービスを実現しました。将来的にはパターン(服の型紙)のデータベースから迅速なサンプル作りも可能にします。服飾メーカーと契約すれば、国内の想定市場規模は94億円あります。個人が工場に直接服をオーダーできるプラットフォームをつくりたいと考えています。
耕作イタリアン E-Flat
藤原 祐哉
日本では大量の食品が廃棄されています。野菜の場合は規格外だとか、不ぞろいだというのが、
その理由です。私は「捨てられる命」を「いただく命」にするため、地元・赤磐市に不ぞろいな野菜専門のレストランを作り、農家から直接購入して料理を提供しています。
私の店だけでは買い取る量に限界があるため、現在は不ぞろい野菜の販売所、肉を使わないハンバーグや野菜のビールといったユニーク商品の開発・販売を行う複合型店舗に挑戦しています。野菜は農家から直接仕入れるので、流通経路の短縮や原価削減につながります。安全安心な有機野菜を安く提供するため、顧客にもメリットがあります。地域に連携を広げ、食の好循環型ビジネスを創造したいと考えています。
下着屋Clove
ボーマン 三枝
31歳で乳がんが見つかり、手術後に下着選びで苦労したことをきっかけに、下着屋Clove(クローブ)を設立しました。
乳がん経験者の多くが手術後のブラジャーに不満を持っています。主な不満点は身に着けると痛いことや好みのデザインがないこと、治療の副作用〝ホットフラッシュ〟の汗による蒸れ。
当社は痛みの原因となるゴムやワイヤを取り除き、デザインもレースをあしらうなどかわいさを追加しました。さらに特殊なコットンを使用し、汗をかいてもサラサラに仕上げました。副作用にまで配慮した乳がん下着は「Kimihug(キミハグ)」のほかにはないと考えます。
色柄やサイズも増やし、岡山から世界の乳がん経験者に届けていきます。